蔵案内
使っているお米は、写真の山田錦をはじめ、雄町、アケボノなどの酒造好適米。 普段私たちが食べているお米よりも重量感があり、お酒の素になるデンプンをたっぷり含 んでいる、まさに酒造りに適したお米です。
原料米はすべて、岡山県産。
岡山で育った岡山のお酒をお客様に飲んでいただきた いという、難波社長の方針です。
120年前に作られた深さ約8mの井戸です。お酒は、この井戸から汲んだミネラルたっぷりの有漢 の天然水で造られます。
通常、ミネラルを多く含んだ水でお酒を造ると、キリッとした硬い咽ごしのお酒に仕上が るのですが、芳烈では、低温でじっくり長時間発酵させることで、やわらかくて飽きのこ ない飲み口に仕上げます。
日本酒の原料は、米と水です。 米を削って、中のデンプン質のみを取り出し、麹がこれを糖分に変化させます。 酵母がその糖分を食べてアルコールを造ります。 これが、大まかな日本酒の造り方です。
精米 お米の一番奥深くには、心白というデンプンの塊があります。これががお酒を造る純粋な成分です。外側のたんぱく質や脂質は雑味のもとになるので取り除かなければなりません。精米機で外側を削り、中の純粋なデンプンのみを取り出します。
洗米 お米に付着した糠を洗い流し、必要な量だけの水分を吸収させます。これを浸漬といいます。この浸漬の作業によって、蒸米のできぐあいや、お米の解けぐあいなどの、 のちの過程の良し悪しが決まってしまいます。洗米はとても神経を使う作業なのです。
蒸米 水分を吸収した米を、甑(こしき)という大きな桶に入れて約60分蒸します。お米を蒸すと、お米の中のデンプンがα化し、酵素に分解されやすい形になるのです。蒸し終わったお米のあら熱を取ると、麹室に運びこみます。
麹づくり 麹室は麹菌が繁殖しやすいように、28~30度の高温多湿に保たれています。十分に水分を飛ばした蒸米に種麹(麹菌の胞子)を振りかけ、かき混ぜます。麹菌は蒸米の中でどんどん増殖していきます。麹菌は生き物ですので、温度の調整が大変です。温度が上がりすぎないよう、麹菌が死んでしまわないよう、常に見張っていなければなりません。お米の表面や内部に麹菌に菌糸が食い込み、麹が出来上がります。出来上がった麹は、お米のデンプンをブドウ糖に変える働きをします。
酒母 酒母は、アルコール発酵に必要な酵母を大量に育てる液体です。 麹に水を注ぎ、よく攪拌し(麹の酵素を溶かしだす)、これに乳酸と酵母を加えます。
約2時間待って、冷ました蒸米を少しずつ加えます。これが酒母です。 酒母なかでは、麹が蒸米のデンプンをブドウ糖に変え、 酵母がブドウ糖をたべてどんどん増えていきます。 乳酸菌は、酵母を雑菌から守ってくれます。
もろみ もろみとは、酒母に麹、蒸米、水を加えたもので、ここで糖分がアルコールに分解され、 お酒ができてくるのです。
蔵の中は、甘く、やわらかい日本酒の香りに満ちています。 あの青いタンクには、もろみが5000リットルも入ります。 芳烈には、このようなタンクが全部で50本あります。
今、何をしてらっしゃるんですか?
「かい入れです。もろみをかき回して、酵母に酸素を与えているんですよ。発酵を調節するための大切な作業です。」
「この泡は炭酸ガスです。酵母が麹のエキスと蒸し米のエキスを食べて、満腹になったら 泡が消え、アルコールを作り出します。」
イーストの香りが漂う中、プツプツ・・・と、泡がはぜる音が聞こえます。
「酵母は、アルコールを作って死滅しますが、またその子どもがアルコールを作り出しま す。この連続的なサイクルを、並行複発酵といいます。大量の泡が出ているのは、この中 に酵母がたくさんいる証拠です。」
もろみの中の酵母が少なくなってきました。泡が消えると、お酒完成のサインです。
泡が消えたもろみはこの機械で絞られます。
できたての日本酒が銀色のタンクに注ぎ込まれます。
この後、半年ほど熟成させ、ちょうど美味しくなった頃に、瓶に詰め、出荷されます。
さわやかでやわらかな飲み口のお酒が出来上がりました。
備前焼の酒器に入れ、自家製の粕漬けをつまみに心ゆくまで味わってください。